2015年9月28日月曜日

柴田敏雄 写真展 "EARLY WORKS 1971-1986"


柴田敏雄の初期の作品展が神保町のGallery Mestallaで開かれている。現在のスタイルが確立する前の試行錯誤時代の作品である。大学卒業直後と思われる版画やシルクスクリーンの作品、ベルギー留学中の写真作品も展示されている。版画はまだ学生の初々しさが残るもので、その後の柴田写真を想像することはできない。留学中の作品はすでに今の柴田を感じさせるものであり、最近の作品と並べて見ても違和感がない。実はとても気に入った作品があったのだが、残念ながら非売品とのこと。帰国後の夜のシリーズはまさしく柴田の暗中模索の作品だ。荒涼とした高速道路の夜景を見ていると胸が締め付けられる。この深海のような世界から後の「日本典型」が生まれたことは驚きであり、柴田ファンとして感無量である。今回の展示は柴田写真をより深く理解したい者にとって必見である。

http://www.gallerymestalla.co.jp/exhibisions/15/shibata/index.htm

現在パリでも夜の作品の展覧会が開催中である。
http://www.parisphoto.com/agenda/toshio-shibata-night

2015年9月22日火曜日

水谷吉法 写真展 Yoshinori Mizutani "YUSURIKA"


水谷吉法の作品展示"USURIKA"が明日まで六本木のIMA Concept Storedで開かれている。作品を見るのは初めてであったが、最初の1枚からどんどんとその世界に引き込まれた。後から彼が多くの国際的な賞を受賞した若手写真家であることを知った。身の回りの光景を写しているはずなのに別世界に連れて行かれるような感覚がある。この世界をあまり言葉で「評論」したくないと思わせるほどに「感性の領域」なのだ。将来が楽しみな作家である。VICEのインタビュー記事も興味深い。

2015年9月14日月曜日

No Art, No Life



乃木坂のGallery Art Unlimitedの展示"No Art, No Life"を見てきた。柴田敏雄のような大家だけでなく若手の作品が興味深く、特に都市の風景を切り取った小沢朋範の写真作品に惹かれた。モダンな画面構成のみならず緻密なカラープリントが印象的である。ちょうど作家が在廊で話をすることができた。4x5のフィルムをドラムでスキャンし、プリントは専門家と色の出方を相談しながらインクジェットで行うとのこと。タイプCプリントよりしっとりとした質感があるかもしれない。手をかけるとここまでできるのかと感心したが、アマチュアが趣味でできることではなさそうだ。