2015年8月20日木曜日

柴田敏雄展




柴田敏雄の作品展が銀座のAKIO NAGASAWA GALLERYで開かれている。これまで柴田の大きな展覧会は東京都写真美術館 (2008)、国立新美術館 (2012)で見ているが、以前より抽象性が弱くなり実景に寄り添うような穏やかさを感じる。柴田の表現は主観を排して客観に徹するものである。モノクロからカラーへの転向もそのためであったが、抽象化の緊張を緩めることもまた必然なのだろう。

柴田は芸大油絵科の出身で、版画やシルクスクリーンを経て最終的に写真を選んだ。セザンヌに憧れて美術の世界に入った柴田の写真はたしかにセザンヌの風景画を思わせる。緻密な画面構成は他に類を見ない。彼を写真家と呼ぶことが適切かどうか自信がないが、最も畏敬する日本の写真家は誰かと問われれば、私は躊躇なく柴田敏雄と答える。

ギャラリー展示は販売を前提としたものだ。恐る恐る価格を聞いてみたが、おおよそ想定内である。展示作品だけでなく作品集にある他の写真も注文可能だ。悩ましい。作品集は小ぶりながら印刷が秀逸だ。煩悩の火種になることを承知の上で一冊購入した。

東京の後はパリで個展が開かれるとのこと。国内より海外で注目されているのかもしれない。私にとって柴田はLewis Boltz, Andreas Gurslyと並んで最も重要な写真作家である。
(敬称略)


If I am told to choose one photographer based in Japan who awes me the most, I will definitely nominate Toshio Shibata. He is as influential to me as Lewis Boltz and Andereas Gursky.

His recent works are now shown at AKIO NAGASA GALLERY in Ginza Tokyo and will be in Paris and some other places in the world.

Some of his previous works are shown at:
http://www.artunlimited.co.jp/en/artists/toshio-shibata.html

If you are interested in Shibata, please refer to an interview article with Marc Feustel.
http://www.marcfeustel.com/eyecurious/?offset=1265814032000&category=Interviews

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